2001年シーズン、日本に3-5-2システムでありながら全く違う方法論により別のシステムへと変貌をさせたシステムが現れた。通称「N-BOX」と呼ばれるこのシステムは中盤がサイコロの「5」の形を取り、守備的MFが大きくサイドに開くことによってサイドのカバーを行い、守備の負担が軽減されたウイングバックが攻撃的MFとして前方へポジションを取り、そして薄くなった中央の守備を下がり目の司令塔が行うことで補った。N-BOXのシステムにおいては3-5-2の基本であるウイングバックが存在せず、中盤の構成をより厚く多層的にした結果どの場所からでもプレスをかけることを実現。FWとMFだけでなくDFラインまでがプレシング&カバーリングに参加し、中央においてもサイドにおいても相手の攻撃に対して強烈なプレシングを掛け続けることを実践していた。
しかしN-BOXにも弱点がないわけではない。サイドのポジションがなく、守備的MFがサイドのカバーを行い、そして残りの4人のMFが連動して中央をカバーするため、どうしても逆サイドにスペースが生まれてしまうのだ。相手にタイミング良く逆サイドへ大きく展開されると決定的なピンチになってしまうため、守備時には2トップの片方がサイドのカバーを行わなければならなかった。
N-BOXは完成された完全なシステムとは言えないかもしれない。だが当時の代表チームをもしのぐ高度な戦術で、システムの斬新さ、サッカーの戦術の新しい可能性という意味においても大きく評価すべき戦術であった。最終的に第2回世界クラブ選手権が中止になったため、世界に対して実際どこまで通用したかはわからないが、ひょっとすると今後のサッカー史にさえ影響を与えたかもしれないだけに、世界基準での評価を受けれなかったのは非常に残念でならない。
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