86年を境に4バックから3バックへと守備的なサッカーが主流になりつつあったなか、逆に3バックのシステムで攻撃的なサッカーを展開したのが「ダニッシュ・ダイナマイト」と呼ばれるデンマーク代表だった。
基本的には4-4-2のシステムを3バック版に変更したもので、トータルフットのコンセプトを元としたポゼッションサッカーを行った。中盤の両サイドハーフが高い位置をキープして積極的なサイド攻撃を仕掛け、流動的で魅力的な攻撃サッカーを展開した。デンマークがこのような攻撃的なサッカーを展開できたのは前線に得点力の高い2トップが存在したためである。
一方、守備面で鍵となるのが中盤の底で守るディフェンシブハーフのポジション。5人の中盤の内4人が攻撃的なため、1人で広範囲をカバーする必要があった。当時でもディフェンシブハーフが1人のシステムはあったが、これほど攻撃的なシステムを採用するチームはなかった。
ディフェンスラインはリベロを中心とした守備を行い、大会のグループリーグでは1失点と安定感を誇ったが、決勝ラウンドではスペインに5失点を喫し敗退。あまりにも攻撃的すぎるサッカー故に守備の裏を突かれたときのバランスの悪さを露呈してしまった。
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