イタリア人監督ザッカルドの代名詞と言われる、中盤をフラットに並べた3-4-3システム。セントラルMF2人、両サイドMF2人と、攻撃を重視したこのフォーメーションは、選手が均等にピッチ上に配されるためピッチ全体を使いやすいが、個々の能力とチームプレイとの融合が求められる。
3トップの両ウイングは縦への突破よりも、中に切れ込む現在では一般的な形となった役割が求められ、これまでの3トップでウイングが担っていたサイドの攻防には両サイドハーフが重要な役割を占めるようになる。その結果、前線で容易に数的優位を作ることができ、厚みのある攻撃を可能にするものの、後ろのディフェンスラインで数的不利を作られるリスクを孕んでいるため、3バックの両サイドの選手は攻撃時に生じるDFの背後のスペースをカバーできるスピードとフィジカル、さらに広いポジション適正が求められる。このため、3-4-3システムは、守備の難易度が非常に高く、いかにして攻守のバランスをとるかがポイントとなる。
守備的戦術が主流のイタリアで中堅クラブを率いて、攻撃的3-4-3で「奇跡」と呼ばれる躍進を果たし、ミラノの名門に引き抜かれたザッカルドも、就任当初は3-4-3を採用していたものの、タレントが揃うチームであってもなかなか機能しにくく、シーズン終盤に3-4-1-2に修正し、タイトルを獲得している。その後のシーズンでは3-4-3を貫く構えであったが、オーナーとの対立でその完成形を見ることなく、解任されることとなる。
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